○１９番目の獣

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2匹の獣の死骸を見つめて少女は悲しい表情をした。
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少女の両耳は最早人間のそれではない。
獣の動きや呼吸を聞き、情報を掌握し、殺す為の耳になってしまった。
折れそうな程か細い腕には獣殺しに特化した歪な一振りが握らされている。
元･ダークブラウンの瞳は白く変色し、反対に髪は黒くなり、喉は血に飢えて、狼の尻尾と足が生えた。
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醜悪。凶悪。歪な獣姿。教会からは[歪獣]と名付けられた。
全ての獣を屠り、教会の望むままの世界を創るべく
急遽作られた１９番目の獣代理。それが私だ。
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血溜りの中で佇んでいると黒衣に身を包んだ教会の人達が
やってきた。獣２匹の”初期成果”を見て感嘆している。
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「いい子だ、ミレニア。
我らがエスターティア神の為にも、
この調子で次なる獣を屠るが良い。」
「それが姉を救う事にも繋がるのだからな。」
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教会で二人、幸せに暮らしていた姉妹は、方や教会に命を狙われ、方や教会の野望を満たす道具にされている。

何故こんな事になってしまったのだろう。
獣と化した日からずっと、少女の顔は悲しみで曇っている。
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